慌ててステロイドを中止してしまうことの危険性

副作用は、副腎皮質ホルモンの分泌を狂わせるところから生まれる
ステロイド剤の処方としては、外用、内服、点滴・注射などがあるが、最も多く使用されてい
るのは外用薬である。その外用薬にしても、軟膏、クリーム、ローション、テープ、スプレー、ソリューション(液)、ゲルといろいろな形態がある。
問題となるのは、ステロイド剤を多用、あるいは強いステロイド剤を長期間常用していると、副腎からのホルモン分泌のバランスが崩れてしまうことにある。
ステロイド剤とは、副腎皮質から分泌されるホルモンのうち、糖質代謝に関係する糖質コルチコイド(グルココルチコイド)と合成グルココルチコイド製剤のことを指す。この糖質コルチコイドは肝臓に入って血中の不要な糖をグリ
コーゲンに変えたり、体内の糖が不足するとグリコーゲンを再び糖に戻すといった働きをしている。そして、二次的な作用に、抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用などがある。ステロイド剤がアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に使われるのは、この二次的な作用を利用するためである。

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活性酸素

アトピー性皮膚炎から脱出するには、自然治癒力を修復し、垣E抗体を作らないようにすることが最大の問題になる。
なぜ生活環境の変化が自然治癒力を低下させるのか、これまでその原因がなかなか分からなかったが、最近その正体が分かった。それは「活性酸素」である。では、活性酸素がどのように自然治癒力を低下させるのか。
活性酸素の怖さは、強力な酸化力にある。細胞膜を保護している不飽和脂肪酸を酸化し、過酸化脂質に変えてしまう。この過酸化脂質は血管の壁に入り込んだり、血液中に溶けて血液をドロドロにする。また、活性酸素によって血液中のコレステロールが攻撃され、これもドロドロ血液の原因になる。さらに活性酸素は細胞のDNAを傷つけて細胞をガン化させたり、臓器を作っている細胞を変質させたりする。
この結果、血流が悪化したり、免疫細胞や酸素・栄養などの供給がスムーズでなくなったり、臓器の機能が低下したりし、身体の機能はバランスを失っていく。身体機能がバランスを失った状態、これこそが自然治癒力の低下ということである。
活性酸素自然治癒力を低下させ、アトピー性皮膚炎の発症と深い関係があると考えられる理
由は、先に述べた生活環境の激変と深い関係があるからだ。
活性酸素は呼吸の2%からも生まれるが、食品添加物、紫外線、過激な運動、喫煙や過度のアルコールなどでも発生する。そして、ストレスによっても大量の活性酸素が発生する。これら活性酸素の発生要因を考えてみれば、帥年代から今日までの私たちの生活とピタリと重なる。
アトピー性皮膚炎を抱えているあなたは、次の条件のいくつに該当するだろうか。

大量の紫外線を浴びる
大気中の有害物質が体内に入る
食物汚染による化学物質が体内に入る
電磁波公害
ストレスを受け続ける
過剰な飲酒、喫煙

これらの環境は、特殊な環境ではない。私たちが普通に送っている日常生活の環境である。日本の大変化とそれに伴う私たちの生活環境の大変化。それが活性酸素を大量に発生させ、自然治癒力の低下を招いたと考えるのはごく妥当なことである。

 

ステロイド剤

自分はどんなステロイド剤を使っているか、ご存じですか

アトピーで悩んでいる人、アトピーの子供さんを持っているお母さん方は、病院でもらった外用ステロイド剤を使っておられる方が多いだろうと思う。なかには、報じられるステロイド薬害に、ステロイド恐怖症のようになっている患者さんもいる。


「葵(あっもの)に懲りて膳(なます)を吹く」ということわざがあるが、ただ闇雲にステロイド剤を怖がる必要はない。そこで今、ステロイド剤を使っている方は、どんなステロイド剤を使っているかを再チェックしてほしい。


ステロイド剤の使用に当たって、十分な注意が必要なことは言うまでもない。しかし、ステロイド剤の使用に熟練した医師の指導下であれば、副作用の心配もなく、非常に有効な外用剤であるとも言える。特に症状のひどい場合には非常に効果的で、現状では治療法の一つの選択肢と考えても良いと思われる。ステロイド剤を適切に使用すれば、軽快が早められることも十分に期待できる。

 

 

生活の激変の他に、環境の悪化

昔であれば、成長に連れて、子供たちの免疫のズレは自然治癒力のバランスによって修正され、アトピー性皮膚炎も消えていった。しかし、生活環境の激変が、現代の子供たちの自然治癒力全体を弱らせてしまった。それがアトピー脱出の難しい子供を急増させてしまったのではないか、と考えられる。これは非常に大きな問題で、アトピーの子供を持つご両親は、とくに留意していただきたいポイントである。

 

生活の利便性が自然治癒力を低下させ、成人型アトピーを急増させた現代のアトピー性皮膚炎の特徴は、子供たちにアトピーが増え、しかも治りにくくなっているだけではない。子供の病気と言われていたアトピーが、成人にも増えていることだ。


成人型アトピーの急増も、子供の場合と同じく、免疫のズレが原因と考えられる。アトピー性皮膚炎の根本的な発症原因が大量の聡E抗体である以上、これ以外に考えられる原因はない。


大人に免疫のズレを起こさせる原因として、先に挙げたストレス社会の進行、生活時間の不規則化などがあるが、毎日の生活環境の変化も見逃せない。
たとえば、昔は、暑さ寒さを簡単に解決してくれる方法は非常に少なかった。しかし、現代はどうだろうか。会社には快適な空調が準備されているし、ほとんどの家庭にエアコンがある。各部屋にエアコンが設置されている家庭も、そう珍しくなくなった。その結果、暑さに汗をかいたり、寒さに耐えなければならないこともまずなくなってしまった。


食生活にしても、昔はコンビニなどなかったし、加工食品も少なかった。そうしたコンビ二食、加工食品には、必ず食品添加物や保存添加物が入っている。自然食品からの食生活の変化で、私たちの体内には膨大な食品添加物や保存添加物が蓄積されている。
生活環境の大変化で言えば、交通手段の発達も生活環境の大変化だろう。交通網が整備されて歩く距離が減り、駅にはエスカレーターが整備され、高層ビルのなかは高速エレベーターが運転されるようになった。ちょっとした買い物や用事でもすぐに車を使うようになり、歩く習慣が大人からどんどん奪われていった。
こうした生活の変化は、確かに便利なものだ。しかし、そうした利便性に浸かっているうち、自然治癒力はどんどん低下していった。その自然治癒力の低下が免疫にズレを生じさせ、垣E抗体が大量に作られるようになった。I型アレルギーを大人に増加させ、昔であればアトピー性皮膚炎を発症しないような年齢にまでアトピーを発症させるようになってしまった。


生活の激変の他に、環境の悪化という問題もある。ただ、これは地球規模で取り組まなければならない問題で、個人の力で答えを出すことは非常に難しい。しかし、食生活の改善、不規則な生活習慣の改善、悪い生活習慣の廃止、ストレス解消など、やる気さえあれば明日から、いや今日からでも改善できる。それが免疫のズレを修正し、アレルギー体質から脱出する第一歩になる。

 

 

生活環境の大変化とともに増え続けた子供のアトピー


免疫だの、抗原抗体反応だの、免疫グロブリンだのと最初から少し難しい話になってしまったが、ここまでの話で重要なポイントは次の二つ。
アトピー性皮膚炎は、垣E抗体が大量に作られることが原因
②大量の垣E抗体は、免疫のズレによって作られる


そして今、子供にも大人にもアトピー性皮膚炎が急増している。その実態を考えると、年齢を問わず、免疫のズレが蔓延していると言わざるをえない。


今でこそアトピー性皮膚炎は現代病を代表する病気の一つになっているものの、側年ほど前まではそれほど騒がれてはいなかった。アトピーが急増したのは1960年代半ばからで、日本が工業立国の階段を駆け上がって高度成長期へ突入していった時期に当たる。
私たちの生活は豊かになったが、その陰で、健康へのマイナス要因がどんどん膨らんでいることには気がつかなかった。たとえば、仕事に追いまくられることによるストレス、人間関係の乳喋、生活時間の不規則化、食生活の欧米化による栄養バランスの崩れ、食品添加物の増加、排煙や排気ガスによる大気汚染、環境汚染による有害物質など、健康へのマイナス要因は挙げればそれこそ切りがない。

 

子供たちは、精神的にも肉体的にも弱者だ。大人と同じような生活環境に置かれれば、子供たちにまず影響が出るのは当然である。子供たちは幼稚園や小学校の受験競争が当たり前になり、大きなストレスにいつもさらされるようになった。同時に、いろいろな有害物質、汚染物質を体内にも取り込んだ。そうした状況から子供たちは免疫のズレを起こすようになり、大量の垣E抗体を作っていった。それが、子供にアトピー性皮膚炎を多発させる原因になったに違いない。


ただし、当時、アトピー性皮膚炎になる子供は現代ほど多くはなかったし、「成長すればアトピーは治る」と言われていたように、年齢とともにアトピー性皮膚炎は消えていた。それに比べ、現代はアトピー性皮膚炎になる子供の数が圧倒的に増えているうえ、なかなか治らない子供たちが増えている。

 

自己流の食事療法は禁物

食事療法は、検査によってアレルゲンが特定されたら、その食品は避ける(除去する)ことになります。そしてそれの代替の食品を食べることになります。ところが除去した食品の代替がなかなか難しいのです。例えば卵がアレルゲンであった場合、鶏肉も食べることができません。そして鶏肉の代替食品として牛肉や豚肉を食べるように言われます。

ところが、アレルゲンが卵だけということはなく、複数のアレルゲンを持つ場合が多いのです。

牛乳がアレルゲンであった場合、牛肉はやはりアレルゲンとなってしまいますから、肉類というと豚肉しか食べられなくなります。
私たち大人の場合、多少、肉類や卵などを制限されたり禁止きれても、それほど痛捧を感じませんが、子供となると問題です。子供は成長するために、大人以上にタンパク質、脂肪、炭水化物、そしてミネラルが必要になってきます。
もし子供が牛乳を始めとする乳製品、牛肉、卵、鶏肉、大豆製品などにアレルゲンを持つということになると、成長を阻害するということになります。この食事療法を成長期の子供に行うということになると、成長障害が起こる可能性が出てきます。そしてこれも前に述べたことですが、食事療法に神経質になるあまり、母親が神経質になってしまい、ストレスがたまってしまいます。
母親がストレスがたまると、子供にもそのイライラが伝染し、それがまた子供のストレスになってしまうという悪影響が出るケースもあります。
大切なことは、食事療法は医師から指示されて行うことになりますから、医師の指示・指導をしっかり守って行うことです。決して自己流では行わないでください。

 

なぜ治りにくいアトピー性皮膚炎は増え続けるのか

◎生活環境の大変化とともに増え続けた子供のアトピー
免疫だの、抗原抗体反応だの、免疫グロブリンだのと最初から少し難しい話になってしまったが、ここまでの話で重要なポイントは次の二つだ。


アトピー性皮膚炎は、垣E抗体が大量に作られることが原因
②大量の垣E抗体は、免疫のズレによって作られる


そして今、子供にも大人にもアトピー性皮膚炎が急増している。その実態を考えると、年齢を問わず、免疫のズレが蔓延していると言わざるをえない。


今でこそアトピー性皮膚炎は現代病を代表する病気の一つになっているものの、側年ほど前まではそれほど騒がれてはいなかった。アトピーが急増したのは1960年代半ばからで、日本が工業立国の階段を駆け上がって高度成長期へ突入していった時期に当たる。
私たちの生活は豊かになったが、その陰で、健康へのマイナス要因がどんどん膨らんでいることには気がつかなかった。

 

たとえば、仕事に追いまくられることによるストレス、人間関係の乳喋、生活時間の不規則化、食生活の欧米化による栄養バランスの崩れ、食品添加物の増加、排煙や排気ガスによる大気汚染、環境汚染による有害物質など、健康へのマイナス要因は挙げればそれこそ切りがない。

 

子供たちは、精神的にも肉体的にも弱者だ。大人と同じような生活環境に置かれれば、子供たちにまず影響が出るのは当然である。子供たちは幼稚園や小学校の受験競争が当たり前になり、大きなストレスにいつもさらされるようになった。同時に、いろいろな有害物質、汚染物質を体内にも取り込んだ。そうした状況から子供たちは免疫のズレを起こすようになり、大量の垣E抗体を作っていった。それが、子供にアトピー性皮膚炎を多発させる原因になったに違いない。

 

ただし、当時、アトピー性皮膚炎になる子供は現代ほど多くはなかったし、「成長すればアトピーは治る」と言われていたように、年齢とともにアトピー性皮膚炎は消えていた。

 

それに比べ、現代はアトピー性皮膚炎になる子供の数が圧倒的に増えているうえ、なかなか治らない子供たちが増えている。その大きな理由として、自然治癒力の低下が考えられる。自然治癒力は、身体に異常が生じたとき、いろいろな機能を総動員して正常な状態に回復しようとする働きである。私たち人間の自然治癒力は、免疫系、神経系、ホルモン系の三つの系統のバランスが取れていて正常に働くようになっている。

 

昔であれば、成長に連れて、子供たちの免疫のズレは自然治癒力のバランスによって修正され、アトピー性皮膚炎も消えていった。しかし、生活環境の激変が、現代の子供たちの自然治癒力全体を弱らせてしまった。それがアトピー脱出の難しい子供を急増させてしまったのではないか、と考えられる。これは非常に大きな問題で、アトピーの子供を持つご両親は、とくに留意していただきたいポイントである。