美しい野菜に隠された危険


変皮肉なことですが、現在、アメリカでは和食がブームになっています。なぜ皮肉なのかというと、戦後の食生活を高タンパク・高脂肪に変えたのは、当時、進駐してきたアメリカでした。
脂肪や砂糖を大量に摂取することを教えてくれたのもアメリカ軍だったのです。そのお陰(?)で、日本人の体力は向上しましたが、摂取カロリー過剰になり、肥満、心臓病、高血圧などの成人病を多発させる元にもなったのはご存じのとおりです。
 
そして、低カロリー、ノンファットの究極の食事として何と高カロリー食生活をわが国に提唱したアメリカで和食が大人気となっているのです。
 
戦後、私たちの食生活は大変革をみました。戦中は別にして、日本食の基本は米の炭水化物でした。そしてタンパク質は大豆によって摂取し、動物性タンパク質としての肉などは、せいぜい週に1,2度で、動物性タンパク質は魚が主です。
 

脂肪も月に1,2度の天ぷらで摂取する程度で、脂肪摂取量は現在から比べるとほんの微々たるものでした。
そして現在と違うのは、海藻類、根菜類の摂取が圧倒的に多かったということです。しかも今と違い、野菜の栽培に農薬や化学肥料を用いていないということです。
 
近代農業は、大量生産することで経済効率をよくし、経営としての農業を確立しようとするも
のです。謹則・戦中の農業は効率が悪く、決して経済的には恵まれていませんでした。いや、恵まれないどころか、天候などに左右されていたって不安定なものでした。
 
しかし、農業が近代化されるにつれて、今までの農業では消費者のニーズに応えることができなくなりました。いわゆる都市近郊農業という新しい形の農業が要求されたのです。この都市近郊農業というのは、〃大量生産、低価格、常時供給″というものです。例えば都市でいつも供給が望まれるレタス栽培について見てみましょう。本来ならレタス栽培は、年に1度の収穫、つまり一期作が常識でした。しかし都市住民はいつもレタスを消費します。そのため、春・夏・秋のいわゆる三期作をしなければニーズに追いついていけないのです。