抗ヒスタミン剤

 

かゆみを抑える薬で、以前から広く使われているのが抗ヒスタミン剤です。
一九三七年に、致死量のヒスタミンからモルモットを救う作用が、ある種のフェノール、アミノァルコールのエステルなどに見いだされ、これが抗ヒスタミン剤発見のきっかけとなり、一九四二年に初めて臨床的に使用できる薬物が開発されました。日本で最初に登場したのは一九五○年です。


アレルギー反応を起こす原因の一つにヒスタミンがあり、抗原抗体反応の結果、ヒスタミンを含んだ肥満細胞が刺激されてヒスタミンを遊離し、血管や気管支、腸管などの平滑筋に作用して収縮させて炎症やショックを起こします。ヒスタミンには胃液などの分泌を促進させる作用もあります。抗ヒスタミン剤とはヒスタミンと桔抗することで作用をあらわす薬剤で、多くの種類があり、アトピー性皮膚炎に限らず、かゆみを伴うじんましんなどの皮膚疾患をはじめ、いろいろな病気で使われています。たと
えば、薬局で売られている風邪薬によく配合されていますし、花粉症はもちろん、乗り物酔い、胃潰傷治療薬などとして広く使われています。
ところで、だれでも経験があるでしょうが、かゆいというのは、たいへんつらいも煙のです。患者さんのなかには、「かゆいのはたまらない。どんなに痛くても、このかゆさよりはましだ」とか、「かゆくて夜も眠れない」と訴える人がおおぜいいます。
そこで、かゆみを抑えるために医師が与えるのがこの薬です。抗ヒスタミン剤には多かれ少なかれ眠くなる作用もあります。炎
この薬は、副作用の少ない薬といえますが、薬である以上は副作用がありますから、ある程度は知っておいてください。

 


まず、眠気です。眠気を起こす程度は、それぞれの薬によってかなり異なりますし、個人差も著しく、催眠作用が弱いとされている薬といえども、人によっては強く出ることもあります。とくに自動車を運転する人、高い建築現場などでの危険な作業や神経を集中しなければならない仕事に従事する人、受験勉強や試験の前の生徒などは慎重に用います。