アトピー性皮虐炎と遺伝

アトピー性皮唐炎の家族内同症の頻度について、日本および海外で一九三○年から最近までに報告されている統計を見ますと、一五・六%から六六・七%となっています。アトピー性皮膚炎に関しては、歴史的に多くの同義語があると同時に、その診断に関しても、報告者によって多少の違いがあります。それらをまとめると、アトピー性皮膚炎の家族内発症頻度は一一○’三○%と考えられます。
 

また、一卵性双生児では六二・五’六六・七%、一一卵性双生児では四○%前後に見られます。
 

一般社会におけるアトピー性皮膚炎の発症頻度は、日本や欧米では三’一一%と報告されていますから、統計学的にもその遺伝性は推測されます。
 

子どもにアトピー性皮膚炎が出る確率は、両親ともにアトピー性皮膚炎の症状がそろっていたり、両親が小さいころにそうだったというケースが高いようですが、両親ともにアトピー性皮膚炎があるにもかかわらず、子どもにはアトピー性皮膚炎が見られない場合もあります。
 

次いで、両親には症状が出ていなくても、祖父母や兄弟姉妹、おじやおば、いとこなどにアトピー性皮膚炎が見られる場合。
 
家族や親類にアレルギー性鼻炎ぜんそくといったアトピー疾患、およびアトピー性皮膚炎の人が全くいない場合は、アトピー性皮膚炎になる確率は低いといえます。
しかし、家族や親類にアトピー性皮膚炎の症状がなく、さらにその既往がないにもか
かわらずアトピー性皮膚炎が見られる子どももいます。
 

アトピー性皮膚炎の遺伝形式については、現在のところ、まだ解明されていません。
アトピー性皮膚炎は遺伝による生まれつきの体質とすると、「もう、どうしようもない」「一生治らない」と悲観的になりがちです。しかし、そんなに悲観的になるには及びません。人間のからだは、成長とともにさまざまに変化して、子どもから大人のからだになっていき、成長がピークに達するころから老化が始まり、自然に体質改善が行われます。
 

ですから、赤ちゃんのときに症状が出たからといって、これから先、一生ずっと治らないなどと悩む必要は全くありません。成長とともに良くなっていくことの方が多いのですから。