何をするかが大きな問題

今も少し触れたように、ステロイド剤を長期使用していると、副腎ではホルモン分泌のバランスが崩れてくる。患者さんの脳からは、外部からホルモンがつねに供給されるという指令が出された状態になっている。このままステロイドの使用を中止するとリバウンド症状が現れ、かえって症状を悪化させることになる。
ステロイドを止めようと思った場合、医師と相談して徐々に弱いステロイド剤に切り替えてもらい、使用量も医師の指示に従って減らしていくことが大切である。


ステロイド剤を使っている患者さんに、ぜひ理解しておいていただきたいポイントがある。
そのポイントは、ステロイド剤はあくまでも抗炎症剤であり、一時的に劇的な効果が期待できても、アトピー性皮膚炎の根本的発症原因を消し去ることはできないということだ。
火事でいえば、水をかけて火の勢いを止めるのがステロイドの役目で、火が消えたように見えても、火種はまだ残っている。そのままではまた火の手が上がり、火事がぶり返す。火の勢いが衰えているときに、火種を取り去るような治療や努力をする。それが、アトピー性皮膚炎と完全に縁を切る方法になる。残念ながら、現代西洋医学には、アトピー性皮膚炎の火種を取り去る治療はない。西洋医学が責められるとすれば、ステロイド剤ではなく、免疫力のズレを修正する方法、低下した自然治癒力を回復させる方法のないことにある。
また、ステロイド剤は全く副作用がないとは言い切れないし、繰り返しになるが、根本治療薬でもない。薬を使わないほうがいろいろな面で望ましく、徐々にステロイド剤の量や頻度を減らしていくことが望ましい。