生活環境の大変化とともに増え続けた子供のアトピー


免疫だの、抗原抗体反応だの、免疫グロブリンだのと最初から少し難しい話になってしまったが、ここまでの話で重要なポイントは次の二つ。
アトピー性皮膚炎は、垣E抗体が大量に作られることが原因
②大量の垣E抗体は、免疫のズレによって作られる


そして今、子供にも大人にもアトピー性皮膚炎が急増している。その実態を考えると、年齢を問わず、免疫のズレが蔓延していると言わざるをえない。


今でこそアトピー性皮膚炎は現代病を代表する病気の一つになっているものの、側年ほど前まではそれほど騒がれてはいなかった。アトピーが急増したのは1960年代半ばからで、日本が工業立国の階段を駆け上がって高度成長期へ突入していった時期に当たる。
私たちの生活は豊かになったが、その陰で、健康へのマイナス要因がどんどん膨らんでいることには気がつかなかった。たとえば、仕事に追いまくられることによるストレス、人間関係の乳喋、生活時間の不規則化、食生活の欧米化による栄養バランスの崩れ、食品添加物の増加、排煙や排気ガスによる大気汚染、環境汚染による有害物質など、健康へのマイナス要因は挙げればそれこそ切りがない。

 

子供たちは、精神的にも肉体的にも弱者だ。大人と同じような生活環境に置かれれば、子供たちにまず影響が出るのは当然である。子供たちは幼稚園や小学校の受験競争が当たり前になり、大きなストレスにいつもさらされるようになった。同時に、いろいろな有害物質、汚染物質を体内にも取り込んだ。そうした状況から子供たちは免疫のズレを起こすようになり、大量の垣E抗体を作っていった。それが、子供にアトピー性皮膚炎を多発させる原因になったに違いない。


ただし、当時、アトピー性皮膚炎になる子供は現代ほど多くはなかったし、「成長すればアトピーは治る」と言われていたように、年齢とともにアトピー性皮膚炎は消えていた。それに比べ、現代はアトピー性皮膚炎になる子供の数が圧倒的に増えているうえ、なかなか治らない子供たちが増えている。